先に、いちばん伝えたいことを書きます。上の子の赤ちゃん返りに疲れてつらいと感じるのは、あなたが冷たいからではありません。二人分、いえ、それ以上の気持ちを一度に受け止めているからです。赤ちゃん返りは、上の子が「まだここにいていい?」と確かめている姿だと言われることがあります。だから直そうと頑張るより、少しだけ受け止め方を変えるほうが、お互いが楽になることがあります。今夜はまず、あなた自身の肩の力を抜くところから始めましょう。
上の子の赤ちゃん返りが「つらい」のは自然なこと
下の子が生まれると、生活のすべてが一気に変わります。授乳、夜の対応、名前を呼ばれる回数。そのなかで上の子が急に甘えん坊に戻ったり、できていたことをやらなくなったりする。抱っこをせがむ、わざと困らせる、赤ちゃんの真似をする。そういう姿を見て、かわいいと思う余裕が持てない日があるのは、当たり前のことです。
私自身、下の子を抱えながら上の子に「あとでね」と言い続けた時期がありました。あとで、あとで、と言いながら、その「あとで」がなかなか来ない。夜になって、上の子の寝顔を見て、胸の奥がきゅっとなる。そんな夜を何度も過ごしました。
ここで覚えておきたいのは、赤ちゃん返りは「困った行動」ではなく「気持ちの表現」だということです。言葉でうまく言えないぶん、態度で伝えているだけ。そう思うと、少しだけ見え方が変わります。あなたが疲れているのは、それだけ真剣に向き合っている証拠です。
上の子は「戻りたい」のではなく「確かめたい」
赤ちゃん返りというと、後ろに戻ってしまったように感じるかもしれません。でも上の子が本当に求めているのは、赤ちゃんに戻ることではなく、「あなたのことは今も大好きだよ」という確認だと感じることがあります。下の子が来たことで、自分の場所がなくなったのではないか。そんな不安を、小さな体で抱えているのかもしれません。
だから、赤ちゃん返りをやめさせようとするより、「ここにいていいよ」を伝えるほうが、結果的に落ち着いていくことがあります。上の子にとっては、叱られることよりも、無視されることのほうがこたえます。ほんの少しでも「あなたを見ているよ」というサインが届けば、それだけで気持ちが満ちていく子もいます。
私が意識したのは、時間の長さより「濃さ」でした。長く一緒にいられなくても、数分だけまっすぐ向き合う。抱きしめて「大好き」と言う。それだけで、上の子の表情がふっとやわらぐ瞬間がありました。完璧にできなくていいのです。届く日もあれば、届かない日もある。それでいいと思っています。
今夜からできる、上の子への小さな接し方
大きなことをしなくて大丈夫です。疲れているあなたでも無理なくできる、小さなことをいくつか挙げてみます。できそうなものを一つだけ選んでも十分です。
1. 一日ひとつ「あなただけの時間」をつくる
ほんの3分でかまいません。下の子が寝ている間に、上の子とだけ向き合う時間を持ってみてください。膝に乗せて絵本を一冊読むだけでも、「特別」が伝わることがあります。
2. 甘えてきたら、まず受け止める
抱っこして、と来たら、できる範囲で応じてみましょう。「お兄ちゃんでしょ」と突き放すより、「おいで」と迎えるほうが、早く落ち着く子もいます。全部応じられなくても、応じられた日を数えてあげてください。
3. 上の子を「お手伝いの仲間」にする
おむつを取ってもらう、そっと見ていてもらう。小さな役割があると、「自分は大切な存在だ」と感じやすくなります。できたら「助かったよ」と具体的に伝えてみてください。
4. 「大好き」を言葉と体で伝える
照れくさくても、声に出して伝えてみましょう。ぎゅっと抱きしめる、頭をなでる。言葉と触れ合いは、上の子にいちばん届きやすい合図です。
5. 夜のひとときを、少しだけ穏やかに
寝る前に、静かな音楽を小さく流したり、今日の楽しかったことを一つ話したりする。慌ただしい一日の終わりに、ほっとする時間があると感じる家庭もあります。無理のない範囲で、心地よい形を探してみてください。
あなた自身の気持ちも、置き去りにしないで
上の子のことばかり書いてきましたが、いちばん大切なのはあなたの気持ちです。二人以上の子どもを同時に見るのは、体力も心も削られます。イライラしてしまう、上の子にきつく言ってしまう。そのあとで自分を責める。その繰り返しに、疲れきってしまう夜もあると思います。
でも、思いどおりにできない自分を責めないでください。あなたは今、とても難しいことをしています。誰にでもできることではありません。うまく笑えない日があっても、それはあなたが手を抜いているからではなく、ただ余裕が足りていないだけです。休めるときに、少しだけ自分を休ませてあげてください。
もし気持ちがずっと晴れなかったり、体や子どもの様子で気になることがあれば、一人で抱えずに小児科や自治体の子育て相談の窓口を頼ってみてください。話すだけでも、少し軽くなることがあります。頼ることは、あなたが弱いということではありません。
完璧じゃなくていい、という結論
赤ちゃん返りは、いつかゆっくりと落ち着いていく子が多いと言われています。今がずっと続くわけではありません。上の子も、あなたも、少しずつ新しい暮らしに慣れていきます。今日できなかったことは、明日に回してもいい。全部を完璧にこなす親でなくても、子どもはちゃんと愛情を受け取っています。
私が今になって思うのは、あの疲れきった日々も、上の子なりに「家族が増える」という大きな変化を一生懸命受け止めていた時間だったということです。うまくいかない日のことばかり覚えているようで、実は子どもは「抱きしめてもらえた」小さな記憶を心に残していきます。
今夜、上の子と下の子の寝顔を見られたなら、それだけで今日は十分です。あなたはよくやっています。どうか、自分にもやさしい言葉をかけてあげてください。少しでも肩の荷が軽くなったなら、うれしいです。
寝かしつけの音楽を無料で配信しています(YouTube: https://www.youtube.com/@Baby_SleepLullabies )。もう少し長い手紙は note( https://note.com/nennebaby )に置いています。
ひとりで抱えないでください
「消えてしまいたい」と感じるほどつらいときは、下記の窓口に連絡してください。深夜でもつながります。
- よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・通話無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
お住まいの自治体の子育て相談窓口や、かかりつけの小児科でも相談できます。頼ることは、無理をしないための普通の選択です。



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