先に、いちばん伝えたいことを書きます。寝かしつけでイライラしてしまう自分を、どうか嫌いにならないでください。その感情は、あなたが冷たいからではありません。むしろ、ちゃんと向き合っているからこそ出てくるものです。今夜は、そのイライラをなくす方法ではなく、うまく「扱う」方法を一緒に考えてみます。少しだけ肩の力が抜けたら、それで十分です。
寝かしつけでイライラして自分が嫌になるのは、あなただけではない
暗い部屋で、なかなか眠らない子のそばにいると、時間だけが静かに過ぎていきます。早く寝てほしい。自分も休みたい。その気持ちがふくらむほど、なぜか子どもは目を輝かせて動き回る。あの感覚を、私も何度も味わいました。
ようやく寝たと思って部屋を出た瞬間、泣き声が聞こえる。その時に胸の奥で「もう勘弁して」とつぶやいてしまう。そして数秒後、そんなふうに思った自分を責める。この繰り返しに、心がすり減っていく人は多いと思います。
でも、考えてみてください。イライラするのは、あなたがその時間をどうでもいいと思っていないからです。早く寝かせたいのは、子どもの健康を思うから。自分が休みたいのは、明日もこの子と向き合うため。感情の裏側には、ちゃんと理由があります。冷たい親だからイライラするのではありません。むしろ逆です。だから、まずはその事実を静かに受け取ってほしいのです。
イライラは「疲れています」のサインとして読む
私は三人の子を育ててきましたが、イライラが強く出る夜には、たいてい共通点がありました。自分がとても疲れているときです。睡眠が足りていない。ごはんをゆっくり食べていない。誰とも話していない。心と体に余白がないときほど、小さなことが引っかかります。
つまりイライラは、あなたの性格の問題ではなく、コンディションのサインとして読めることがあります。「私はダメな親だ」ではなく、「今日はかなり疲れているんだな」と言い換えてみる。それだけで、自分への言葉のトゲが少し丸くなります。
感情そのものを消そうとすると、たいてい余計に苦しくなります。わいてきたイライラを「出てきたな」と横目で見て、そのまま置いておく。無理に押さえ込まなくていいのです。感情は天気のようなもので、必ず通り過ぎていきます。強い雨の日に自分を責めても雨はやみません。ただ通り過ぎるのを待てる場所を、自分の中に少しだけ作っておく。そんなイメージでいてもらえたらと思います。
今夜からできる、イライラとの付き合い方
ここでは、その夜のうちに試せる小さなことをいくつか書きます。全部やる必要はありません。ひとつでも、心が少し楽になりそうなものがあれば十分です。
1. 一度、部屋を出て深呼吸する
安全が確保できているなら、数十秒だけその場を離れてもいいのです。ドアの外で息をゆっくり吐く。それだけで、こみ上げていた気持ちが少し引くことがあります。離れることは、放置ではありません。立て直すための時間です。
2. 「早く寝て」を心の中で言い換える
「早く寝て」と念じるほど、焦りは強くなります。そんなときは「今は寝られないんだね」と、事実だけをそっと言い換えてみてください。期待を手放すと、思い通りにならない苛立ちが少しやわらぎます。うまくいく夜も、いかない夜もあっていいのです。
3. 完璧な寝かしつけを目指さない
今日は抱っこでもいい。少しくらい寝る時間がずれてもいい。そう自分に許可を出すだけで、気持ちに余白が生まれます。毎晩を百点にする必要はありません。六十点の夜が続いても、子どもはちゃんと育っていきます。
4. 音や光で場の空気を変える
静かな音楽をそっと流したり、部屋の明かりを一段落とすと、空気がやわらぐことがあります。私も寝かしつけ用の音楽を作っていますが、これは子どものためだけではなく、実は親自身の気持ちを落ち着けるためでもあると感じています。整うのはどちらも、でいいのです。
5. 明日の自分に任せることを決める
夜にできないことを、無理に今片づけようとしない。「これは明日でいい」と口に出して、頭の中から一度おろす。やることが多い夜ほど焦りが増えます。手放すものを決めるだけで、心の荷物は軽くなります。
6. 寝た後の自分をねぎらう
子どもが眠ったら、まず一杯の水でも飲んで、自分に「おつかれさま」と言ってみてください。反省会を始める前に、まず労う。この順番だけは、忘れないでいてほしいのです。
それでもつらい日が続くときに
イライラが毎日おさまらない、涙が止まらない、眠れない日が続く。そんなときは、気持ちの強さだけでなんとかしようとしなくて大丈夫です。誰かに話すこと、頼ることは、弱さではありません。
身近な人に打ち明けるのが難しければ、住んでいる地域の子育て相談の窓口や、自治体の保健センターに声をかけてみるのもひとつの方法です。子どもの様子で気になることがある場合も、抱え込まず、小児科や相談窓口に相談してみてください。専門の人に話すだけで、状況が整理されることがあります。
私自身、先の見えなさに押しつぶされそうになった時期がありました。育児のことも、これからのお金のことも、全部ひとりで背負おうとしていたのです。でも、少しずつ人や仕組みに頼れるようになってから、ようやく息ができるようになりました。頼ることは、あなたと子どもの両方を守る行動です。
おわりに
今夜も、眠らない子のそばで、あなたはちゃんとがんばっていました。イライラした自分を責めてしまうその優しさが、もう十分すぎるほどの証拠です。うまくできた夜も、できなかった夜も、あなたは変わらず大切な親です。
感情の波は、必ず引いていきます。今はただ、深く息を吐いて、温かいものを一口飲んでください。この文章を閉じたあと、あなたの夜が少しでも静かになりますように。おつかれさまでした。どうか、ご自分にもやさしく。
ひとりで抱えないでください
「消えてしまいたい」と感じるほどつらいときは、下記の窓口に連絡してください。深夜でもつながります。
- よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・通話無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
お住まいの自治体の子育て相談窓口や、かかりつけの小児科でも相談できます。頼ることは、無理をしないための普通の選択です。



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